負け犬のオーボエ

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霊感強いおっぱい女

一度死んだ話をします。

 

大学3回生の夏だったのですが、その日深夜にバイトを終わってからふと思い立って京都から鳥取まで行くことにしました。

 

お金はないけど時間と体力だけはあるので下道で行くことにしたのですが、たしか片道5時間くらいかかったはずです。

若さとはまったく怖いものですが、その時は砂丘の上から朝日が見たいという謎の動機だったと記憶しています。

 

朝日は見れたしラクダにも乗ったし駅前の温泉にも入ったし美味しいご飯も食べたしという楽しい小旅行になったのですが、当然行ったら帰らねばなりません。

その日も夕方からバイトだったので、往復10時間運転してそのまま働きました。

 

終わったら流石にヘロヘロだったんですけど、携帯を見たら大学の友達からメールが届いてました。

今飲んでるから合流しないか?というお誘いです。普通に考えてもう体力の限界ですが、当時の僕は「誘われたら断らない」という謎のポリシーを持っていたので二つ返事で行くことにしました。

 

居酒屋で合流してそのあと誰かの家に転がり込んで数人で飲んでいたら、ふと誰かが「心霊スポットに行こう」とか言い出しました。もう酔ってるし何より眠いのですが、満場一致でその案は可決され、幽霊が出ると噂のトンネルに向かうことになったのです。

 

車で来ていたのは僕だけだったので、当然目的地までの運転は僕がすることになりました。完全に飲酒運転ですが、もう20年くらい前の話なのでご容赦下さい。

 

で、結論から言うと幽霊は出ませんでした。辛気臭いトンネルを通って、その先にあった自動販売機でジュース飲んで戻ってきただけです。自称霊感の強いおっぱいでかい女がジュース飲みながら「なんだか耳が痛い」とか言ってましたがいつものことなのでみんなスルーしていました。

 

その帰り道、流石に限界を超えた眠気と酔いで朦朧としていたのですが、山道から降りて国道 (もしくは県道) に合流するところでそれは起こりました。

 

片側一車線の道だったのですが、対向車線から向かってきた大型トラックと僕の運転している乗用車が正面衝突したのです。

 

僕はその時のことをよく覚えています。

時間がゆっくりと過ぎるような奇妙な感覚のなか、トラックのヘッドライトが近づいてきて車のボンネットを潰しながら、何一つできないまま僕や友人を押しつぶしました。僕は自分の腕や肋骨がぐちゃぐちゃに潰れ、割れた頭蓋から何かが溢れた感覚まで覚えています。なぜか最後に記憶しているのは車の時計なのですが、時間は夜中2時過ぎでした。

 

 

暗闇が訪れたあと、はっと目覚めたら友人宅でした。

 

その辺に飲み会をしたままの状態でみんな横たわっています。喉がカラカラだったので薄暗いなか誰かを踏みながら (たぶん感触的におっぱいでかい霊感女) 台所まで行き、水を飲みながら時間を確かめると夜中の2時過ぎ。ちょうどさっきまで運転していた時間と一致していました。

 

単なる夢オチといえばそうなのですが、僕は未だにあれが夢だったとは信じられないのです。あまりにも感覚がリアルだったし、夢特有のおかしなところや矛盾が一つもありません。

件のトンネルにもその夢?で初めて行ったのですが、後から確かめたらトンネルはもちろんそこに至るまでの道や建物もちゃんと実在していました。自動販売機の品揃えまで記憶と一致しています。

ちなみに友人達に聞いても何も覚えていないというか、「お前疲れてたみたいで、さっさと一人で寝たで」ということでした。

 

 

以上は実話なのですが、この話を人にすれば「怖い話」「不思議な話」として片付けられてしまうと思い、嫁ですら話したことはありません。

 

多分ですが、僕は一度あの時死んでいます。

 

じゃあ今いるこの世界はなんだという話になりますが、僕はそれ以来ここは「オマケのボーナスステージ」であると考えるようになりました。

 

オマケなので、やりたいことやらなきゃ損です。何かの気まぐれで与えられた命なら、またいつ取り上げられても不思議じゃないので。

ちょっと変かもしれませんが僕の行動原理はこの経験に基づいています。与えてやった命でなにかを成し遂げろとか特に言われてないので、それでいいのかなと。

もしくは貴重な残機が1減ったのかもしれませんが、同じことです。

 

以上、今週のお題「人生最大の危機」でした。危機っていうか死んでますけどね。

 

とりあえず霊感女のおっぱいはその後揉んでみましたが、大したことなかったです。