負け犬のオーボエ

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拝啓 「い」様

今週のお題「あの人へラブレター」

「こいぶみ」を数字に置き換えたら5月23日になるとのことだけど、さすがにちょっと苦しくはないですか。「い (1) 」の扱いが雑過ぎ。こういうの嫌いですね。

せっかくなので、かわいそうに無視されてしまった「い」さんに向けて全力でラブレターを書いてみることにします。

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「い」様

拝啓 風薫る今日この頃いかがお過ごしですか。

突然このようなメールをお送りし、さぞ驚かれているのではないかと思います。申し訳ございません。

「い」様のことは、実は幼少の頃から存じておりました。恐らく始めて出会ったのは「あ」様だったのではないかと思いますが、それから間も無くして「い」様のことも知ったはずです。

正直、当時のことはあまりよく覚えていないのですが、それもそのはずもうあれから35年くらい経ったのですね。時が過ぎるのはあまりにも早いものです。

 

「い」様とはとても長いお付き合いですが、あなたはとても謙虚な方であることを知っております。

かつて公式の順番法として用いられた「いろは歌」に於いて「い」様は先頭にいらっしゃいました。これはすなわち「い」様が長年日本語の代表であったということです。

しかし次第に「あ」様を先頭とする50音順の勢力が拡大し、昭和27年『公用文作成要綱』において「人名や件名の並び順は50音順にする」と公式に決定されたことで、代表の座を「あ」様に受けわたされました。

この時の「い」様のお気持ちを推察すると心が痛くなりますが、あなたは「これで日本語がより便利で分かりやすくなるのであれば喜んで身を引こう」とNo.2になることを進んで受け入れました。そのことは日本人なら誰もが知っています。

しかも単に身を引いただけでなく、「あ」様と並ぶ事で日本語の最初の音を「愛 (あい) 」にするなんて、なんと心憎い演出でしょうか...

 

そんな「い」様の事をもっと知りたいと思いお調べさせていただきましたが、あなたは元々漢字の「」だったのですね。

当時と比べ丸みを帯びて少しふっくらとされましたが、絶妙な左右のバランスは奥が深く、人々を魅了して止みません。

そしてあなたのもう一つの顔である「」様は、元はイタリアを表した「」だというではありませんか。そんなグローバルな一面すら兼ね備えているとは思ってもいませんでした。

 

多才なあなたは音楽の世界でも活躍されていますね。イは「A (ラ) 」の音を表し、調律にも用いられる非常に重要なポジションです。あなたがいなければオーケストラは音を奏でることすら出来ないでしょう。

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こんなに「い」様の事を考えたのはこれが初めてですが、知れば知るほどあなたの魅力に取り憑かれてしまいそうです。

 

実は、私の妻も「い」から始まる名前ですので愛する人の名を呼ぶとき、必ず「い」様に出会っているのです。

この為、これからも幾度となく「い」様のことを口にするかと存じますが、どうぞ末永く宜しくお願い申し上げます。

敬具