とんかつとんかつDKY
暇だったので目的もなくネットしていたら、ファミレス(ガスト・ジョナサン・デニーズ) のとんかつを比較する記事があった。
ファミレスの「とんかつ」食べ比べ ガスト、ジョナサン、デニーズの違いは? | マネーポストWEB
なぜその3社だけなのか。ココスやロイホ、ジョイフルはどこに行ったのかと若干の憤りを覚えつつも、まあそれはいい。
それぞれのファミレスで、きっと美味しいとんかつを提供できるよう色々な工夫や努力をしているのだろう。上記の記事を読むだけでもその片鱗が窺える。
だが、僕の主張というか偏見なんですが、わざわざファミレスでとんかつ食べる必要がどうしても感じられないのです。
まず、僕にとってとんかつというのは特別な食べ物である。祝祭的といってもいいかもしれない。食べ物ヒエラルキーというものがあるならかなり上位に位置するメニューである。
とんかつは何かいいことがあった時や、別に何もなくとも日常のささやかな幸せを感じるためにちょっとした贅沢として食べるメニューという位置付けなのだ。
美味しいとんかつ屋さんを知っているか、また近くにあるかどうかで人生の充実度や幸福度ははかなり違ってくると思う。
また家で食べる場合でもとんかつというのは割と手間のかかる料理である。家族への愛がなければまず作る気にもならない。
普段台所にすら立たない無能は「買ってきた肉に衣をつけて揚げるだけだろう」等とのたまうかもしれないが、敢えて言おう、DKYであると。
DKY: (D)だったら (K)君が (Y)やりたまえorやってみろ
ちょっと昔の海外駐在者がよく使う隠語。他にOKY (お前が来てやれ) やOKO (お前もここにおったやろ) といったのも。今でも言うのかな。
とんかつに話を戻す。
祝祭的メニューであるとんかつはしばしば「勝つ」の験担ぎで食されることもあるが、勝負がスポーツでも勉学であっても直前に食べることは流石の僕でも推奨できない。胃もたれするので。終わってから美味しく食べるべきだ。
適量なら問題ないといわれるかもしれないが、その意見は却下である。とんかつはお腹いっぱい食べるものと宇宙のルールで決まっているので。
この記事には特にオチも用意しておらずただ単に「とんかつ美味しい」「とんかつ食いてえ」と言いたいだけなのだが、書いてるうちにちょっとしたとんかつにまつわるエピソードを思い出したので残りのスペースで語らせてもらう。
もう8年以上も前の話だが、嫁にプロポーズしてご両親の家に挨拶しに行った時、すごいご馳走で迎えてくれた。
わざわざ当日の朝にちょっと離れた漁港まで出向き新鮮な魚を買ってきてくれたらしく、大量の刺身や煮付けなんかを用意してくれたのだが、魚料理の後にとんかつまでたくさん揚げてくれた。
メンバーは4人なのに、やや小ぶりとはいえ10数枚のとんかつである。すでにお腹はいっぱいになりつつある状態でこの量は尋常ではない。
これは「このくらい食えない軟弱者にウチの娘はやれん」という試練ではないか、あるいは「せめてご飯には不自由しないよう、娘を頼みます」というメッセージなのか。例えそのどちらでも僕に出来ることは残さず食べる事だと思い、頑張って食べた。モリモリ食べた。
それからしばらくして結婚式も無事終わり、なにかの拍子に親族が集まっている際になんとなくその時の話になった。
そしたらどうも僕がたいらげたとんかつはまとめて揚げておいてその日の夜ご飯にするはずだったらしい。そんなわけで「えらい大飯食らいの婿が来た」と親戚内で少し心配されていたとのこと。先に言えや。というか皿に出すなや。そんなん食うてまうやん。そら食うてまうやん。
そういえば、今日はお義父さんの命日だ。
命日に合わせて嫁は子供とちょっと早いお盆で先に帰省している。せっかくなので今日はとんかつにしようかと思ったけど、家族が揃っているときにしようと思ってやめた。だって、とんかつはみんなで美味しく食べるものなので。